電波時計が受信できない部屋でM5StickC / ATOM LiteとJJYシミュレータを使って時刻合わせを自動化した

Image credit: Tomokatsu Yukishita

引越しを機に電波時計が電波を受信しなくなった問題を、M5StickC / ATOM LiteとJJYアンテナ基板を使ったJJYシミュレータで解決した記録です。

問題:引越し後に電波時計の時刻が狂い始めた

電波時計は電波で自動的に時刻を合わせてくれるため、手動調整が不要で便利です。ところが引越し後、自宅では電波を受信しなくなり、時刻が少しずつ狂うようになってしまいました。

窓際に持っていけば受信できるものの、時刻合わせのたびに窓際まで運ぶのは手間です。何か恒久的な解決策を探すことにしました。

市販の電波送信機は高価

調べると「電波時計用送信機」という製品が存在します。NTPサーバーやGPSから正確な時刻を取得し、室内にJJY信号(日本の標準電波)を再送信するものです。

共立電子産業 AC同期式時刻送信機 P18-NTPAC
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ケイシーズ GPS式電波時計用リピータKEISEEDS P18-NTPGR
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電波時計信号送信機能付き時計(白) P18-NTPLR
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機能的には理想的ですが、どれも1〜3万円前後とそれなりの値段です。「電波時計1台のためにそこまで出すのは…」と躊躇していました。

解決策:M5StickC + JJYアンテナ基板で自作する

「安く自作できないか」と思い、スイッチサイエンスで探したところ、まさにそのものズバリな製品を見つけました。

JJY とは

JJYとは、情報通信研究機構(NICT)が送信している日本の標準電波の呼出符号です。40kHz(福島局)と60kHz(佐賀局)の2波で日本全国をカバーしており、電波時計はこの信号から正確な時刻を受け取っています。

今回使うのは、このJJY信号を模擬して室内に送信するボード(シミュレータ)です。

必要な部品

JJYアンテナ基板(M5StickCまたはATOM用)とM5本体を組み合わせて使います。

製品リンク備考
M5StickC用JJYアンテナ基板スイッチサイエンスM5StickC専用
M5Atom用JJYアンテナ基板スイッチサイエンスATOM Lite/Matrix用
M5StickCスイッチサイエンス現在販売終了
ATOM Liteスイッチサイエンス現在も入手可能・推奨
ATOM Matrixスイッチサイエンス現在も入手可能
M5StickCは現在販売終了しています。新たに購入する場合は ATOM Lite と M5Atom用JJYアンテナ基板 の組み合わせがおすすめです。

筆者が購入した時点では基板とM5本体を合わせても5,000円以内でした(価格は変動するため、購入時にご確認ください)。市販の専用送信機と比べると大幅に安価です。

セットアップ手順

スイッチサイエンスの製品ページに掲載されているGitHubリポジトリの手順に沿ってセットアップします。

手順通りにプログラムを書き込むだけで、特にハマりどころなく完了しました。

動作確認

プログラムを書き込んだM5StickCをJJYアンテナ基板に接続し、電波時計のそばで動かします。

M5StickCとJJYアンテナ基板を電波時計の横に置いた様子
電波時計のすぐ横に置いて受信させる

電波の到達距離は短く、**時計のすぐ隣(数cm〜数十cm程度)**でないと受信しません。ただし電波時計は一度時刻合わせが完了すれば、次の合わせまでしばらくは正確な時刻を保持するため、実用上は問題ありませんでした。

JJYシミュレータを受信しないときの確認手順

まず時計をアンテナのすぐ横に置き、時計の説明書に従って手動受信を開始します。距離・時刻取得・周波数・時計の設定の順に確認すると、原因を切り分けやすくなります。

  1. 距離と向きを変える:筆者の環境では数cm〜数十cm程度の近距離で動作しました。アンテナを時計に近づけ、時計やアンテナの向きを少しずつ変えて試します。
  2. Wi-Fi接続と時刻取得を確認する:BF-018AはWi-Fi経由でNTPから時刻を取得します。シリアルモニターや使用中のプログラムの状態表示で、接続・同期の状況を確認してください。LED表示の意味はRev.によって異なります。
  3. 40kHz/60kHzの設定を確認する:BF-018Aの既定値は40kHzです。時計が対応・受信する周波数と合わせます。60kHzへ変更する場合は、開発元READMEの jjy_frequency の説明を確認してください。
  4. 時計の受信設定を確認する:受信機能がオフになっていないか、地域・受信局の設定が合っているかを時計の説明書で確認します。手動受信の完了表示が出るまで待ち、途中で時計やアンテナを動かさずに試してください。
  5. Wi-Fiが切れる場合は設置場所とプログラムを確認する:筆者は電子レンジのそばで切断を経験しました。場所を変えて再起動し、再現するか確認します。BF-018Aの後の版にはWi-Fi復旧処理も追加されているため、使用中のRev.と対応環境をREADMEで確認してください。

参考:開発元:BF-018A README(動作・周波数・Wi-Fi復旧処理)

課題

一点だけ気になった点として、当時使用したプログラムでは、電子レンジのそばでWiFi接続が切れ、再接続しないことがありました。その場合は手動で再起動が必要です。電子レンジと離れた場所に設置するか、定期リセットを組み込む改良が考えられます。

まとめ

市販の電波送信機を買わずとも、M5StickC / ATOM LiteとJJYアンテナ基板の組み合わせで、数千円台で電波時計の自動時刻合わせ問題を解決できました。

  • コスト:数千円台(筆者購入時は5,000円以内、市販送信機の1/3〜1/6程度)
  • 難易度:GitHubのコードを書き込むだけ、はんだ付け不要
  • 注意点:電波の到達距離が短いため、時計のすぐ隣に設置が必要

時計のすぐ隣に置く必要はありますが、窓際まで運ばずに時刻を合わせられるようになりました。

Tomokatsu Yukishita (雪下 智且)
Tomokatsu Yukishita (雪下 智且)
Engineering Manager / 宅地建物取引士

車載ソフトウェアの開発に携わっています。MacやRaspberry Pi、写真機材など、試したことをこのブログに書いています。

関連項目