電波時計が受信できない部屋でM5StickC / ATOM LiteとJJYシミュレータを使って時刻合わせを自動化した
Image credit: Tomokatsu Yukishita引越しを機に電波時計が電波を受信しなくなった問題を、M5StickC / ATOM LiteとJJYアンテナ基板を使ったJJYシミュレータで解決した記録です。
問題:引越し後に電波時計の時刻が狂い始めた
電波時計は電波で自動的に時刻を合わせてくれるため、手動調整が不要で便利です。ところが引越し後、自宅では電波を受信しなくなり、時刻が少しずつ狂うようになってしまいました。
窓際に持っていけば受信できるものの、時刻合わせのたびに窓際まで運ぶのは手間です。何か恒久的な解決策を探すことにしました。
市販の電波送信機は高価
調べると「電波時計用送信機」という製品が存在します。NTPサーバーやGPSから正確な時刻を取得し、室内にJJY信号(日本の標準電波)を再送信するものです。



機能的には理想的ですが、どれも1〜3万円前後とそれなりの値段です。「電波時計1台のためにそこまで出すのは…」と躊躇していました。
解決策:M5StickC + JJYアンテナ基板で自作する
「安く自作できないか」と思い、スイッチサイエンスで探したところ、まさにそのものズバリな製品を見つけました。
JJY とは
JJYとは、情報通信研究機構(NICT)が送信している日本の標準電波の呼出符号です。40kHz(福島局)と60kHz(佐賀局)の2波で日本全国をカバーしており、電波時計はこの信号から正確な時刻を受け取っています。
今回使うのは、このJJY信号を模擬して室内に送信するボード(シミュレータ)です。
必要な部品
JJYアンテナ基板(M5StickCまたはATOM用)とM5本体を組み合わせて使います。
| 製品 | リンク | 備考 |
|---|---|---|
| M5StickC用JJYアンテナ基板 | スイッチサイエンス | M5StickC専用 |
| M5Atom用JJYアンテナ基板 | スイッチサイエンス | ATOM Lite/Matrix用 |
| M5StickC | スイッチサイエンス | 現在販売終了 |
| ATOM Lite | スイッチサイエンス | 現在も入手可能・推奨 |
| ATOM Matrix | スイッチサイエンス | 現在も入手可能 |
筆者が購入した時点では基板とM5本体を合わせても5,000円以内でした(価格は変動するため、購入時にご確認ください)。市販の専用送信機と比べると大幅に安価です。
セットアップ手順
スイッチサイエンスの製品ページに掲載されているGitHubリポジトリの手順に沿ってセットアップします。
- プロダクトページ(GitHub: BF-018A)
- JJYシミュレータ・プログラム(.ino)
- 解説記事:標準電波 JJY もどきを M5StickC / M5Atom の Ticker で生成する(Qiita)
手順通りにプログラムを書き込むだけで、特にハマりどころなく完了しました。
動作確認
プログラムを書き込んだM5StickCをJJYアンテナ基板に接続し、電波時計のそばで動かします。

電波の到達距離は短く、**時計のすぐ隣(数cm〜数十cm程度)**でないと受信しません。ただし電波時計は一度時刻合わせが完了すれば、次の合わせまでしばらくは正確な時刻を保持するため、実用上は問題ありませんでした。
JJYシミュレータを受信しないときの確認手順
まず時計をアンテナのすぐ横に置き、時計の説明書に従って手動受信を開始します。距離・時刻取得・周波数・時計の設定の順に確認すると、原因を切り分けやすくなります。
- 距離と向きを変える:筆者の環境では数cm〜数十cm程度の近距離で動作しました。アンテナを時計に近づけ、時計やアンテナの向きを少しずつ変えて試します。
- Wi-Fi接続と時刻取得を確認する:BF-018AはWi-Fi経由でNTPから時刻を取得します。シリアルモニターや使用中のプログラムの状態表示で、接続・同期の状況を確認してください。LED表示の意味はRev.によって異なります。
- 40kHz/60kHzの設定を確認する:BF-018Aの既定値は40kHzです。時計が対応・受信する周波数と合わせます。60kHzへ変更する場合は、開発元READMEの
jjy_frequencyの説明を確認してください。 - 時計の受信設定を確認する:受信機能がオフになっていないか、地域・受信局の設定が合っているかを時計の説明書で確認します。手動受信の完了表示が出るまで待ち、途中で時計やアンテナを動かさずに試してください。
- Wi-Fiが切れる場合は設置場所とプログラムを確認する:筆者は電子レンジのそばで切断を経験しました。場所を変えて再起動し、再現するか確認します。BF-018Aの後の版にはWi-Fi復旧処理も追加されているため、使用中のRev.と対応環境をREADMEで確認してください。
参考:開発元:BF-018A README(動作・周波数・Wi-Fi復旧処理)
課題
一点だけ気になった点として、当時使用したプログラムでは、電子レンジのそばでWiFi接続が切れ、再接続しないことがありました。その場合は手動で再起動が必要です。電子レンジと離れた場所に設置するか、定期リセットを組み込む改良が考えられます。
まとめ
市販の電波送信機を買わずとも、M5StickC / ATOM LiteとJJYアンテナ基板の組み合わせで、数千円台で電波時計の自動時刻合わせ問題を解決できました。
- コスト:数千円台(筆者購入時は5,000円以内、市販送信機の1/3〜1/6程度)
- 難易度:GitHubのコードを書き込むだけ、はんだ付け不要
- 注意点:電波の到達距離が短いため、時計のすぐ隣に設置が必要
時計のすぐ隣に置く必要はありますが、窓際まで運ばずに時刻を合わせられるようになりました。